So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン
前の10件 | -

犬の話 ③ [昔噺]

コロが死んでしばらく経った頃、父が友人から犬をもらってきました。それは血統書付きのコリー犬の子どもということでした。が、その仔犬は尻尾の先っちょが切れて少し短かった。でも僕と兄はそんなことどうでもいいと思いました。その外国人みたいな可愛い仔犬を見て、名前つけなあかんなぁ、どーする、ジェスいうのんどうやろ、と兄が言うので、ええんちゃう、メスやけど。と言いながら「ジェス」という名前にしました。その名前は当時僕らの間で(たぶん日本中で)人気ナンバーワンだった、アメリカのテレビドラマ「ララミー牧場」の流れ者のカウボーイ、ロバート・フラー演じるジェス・ハーパーのジェスのことでした。うちのジェスはあっという間に僕なんか上に乗れそうなくらいに大きなコリー犬になりました。

           ジェス.jpg



夏の暑い日、兄と僕がジェスを連れて散歩に行くと、収穫が終わって広々とした田んぼのところに来たので、コリーはもともと羊を追いかける犬やからたまには思いっきり走らしたろか、とジェスを放してやりました。大喜びで走り回るジェスを見て、気持ち良さそうやなぁ、よかったなぁ、と話してたその時、なんと、ジェスが田んぼのあぜ道の横の肥溜めにズボッと落ちてしまったんです。ここで知らない人のために「肥溜め」の説明。当時(昭和30年代)の田んぼにはあっちこっちに地面を掘って肥料用の糞尿を貯めておく所が作ってあった。大きな壺を埋めて作ったのもあり「野ツボ」ともいった。夏にはその表面は乾いてカチカチなんでうっかり上に乗ると、ズボッと入ってしまいます。大阪弁で、最悪の目に会うのを「どつぼにはまる」というのはこの野ツボにはまることから来てるかどうかは知りません。その肥溜めにジェスが落ちてしまいよりました。わっ、えらいこっちゃ、どないしょ、と思ってると、ジェスはなんとか肥溜めから這い上がってきたので、僕らは家まで思いっきり走って逃げることにしました。なんか訳のわからんジェスは僕らの後を必死で追いかけてきます。なんとか家までたどり着いたので、庭のホースで水をじゃーじゃーかけて体に付いた汚物を洗ってやりました、という話。

          ジェスと肥溜め.jpg

今回のBGMは ジャンゴ・ラインハルトで ‘ スターダスト’ です。「ララミー牧場」で主人公たちの爺やウィリー役で ‘スターダスト’ や ‘ ジョージア・オン・マイ・マインド’ の作曲者 ホーギー・カーマイケルが出演してたので。



nice!(0)  コメント(0) 

図書館へ行こう!⑦ [本・音楽]

10年くらい前から小さい文字が読み辛くなってしまった。仕事の時は老眼鏡の上に拡大鏡をつけている。文庫本などを読む時はその上に虫眼鏡を持って読んでいる。新聞記事なんかだとまだいいのですが、小説なんかだとスラスラ読めないので気が散ってしょうがない。そしたら図書館に大活字本というのがあったので、川端康成の「掌の小説」〈上〉という本を借りてみました。その中の一編に「指環」という話があります。貧しい法科の大学生が翻訳のバイトを持って山の温泉場へ行ったら、林の中の小料理屋で芸者が3人昼寝をしていた。彼が温泉に入ろうと川原の方へ降りて行くと11歳か12歳ぐらいの少女が湯船に裸で立っていた。まぁ、子どもやからええんちゃう、と彼はすっぽんぽんで少女のそばに入った。すると少女は彼を誘うような素振りを見せて微笑んだ。からだを一目見ると芸者の子だとわかった(この大学生すごいなぁ)。そして少女は突然左手を持ち上げて「あら!はずすのをすっかり忘れていたわ。そのまま入ったんだわ。」と叫んだ。彼は思わず少女の誘いにのって手を見てしまう。少女は「蛋白石(オパール)よ。」と言った。それから彼と少女は何やかや話をしながら少女の手を弄んでいるとその指環が美しく見えてきた。というほんまは叙情的でちょっとエロチックな話ですが、大活字本で読むとなんか大きな字と広い行間で情感もなく、もうひとつエロい雰囲気が出ませんでした。それで挿し絵もこんな川端康成の世界とはほど遠い感じになりました。やっぱり少々読みにくくても文庫本を読もう、と思いました。

           掌の小説・指環.jpg


最近は古いジャズやロックの名盤が安い値段でいろいろ再発売されています。それで図書館にもたくさん入ってくるようになりました。名盤と言はれているけどぼくが若い時にはあまり聞いてこなかったレコードをCDで借りて聞いてます。

            いつか王子様が.jpg

マイルス・デイヴィスは今でも一番よく聞くジャズ・ミュージシャンです。そしてたくさんの名盤があります。しかしこの「サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム」(1961年録音 ) はディズニー・アニメの「白雪姫」の挿入歌で「いつか王子様が」という邦題で超有名な歌なのでなんとなく軟弱そうであまり聞いてませんでした。ジャケットも女の人やし(この人当時のマイルスの嫁さんらしい)。しかし今聞くと親しみやすいメロディーとマイルスのミュートトランペットがめっちゃ気持ちよかつた。



           MJQ・フォンテッサ.jpg

MJQ(モダン・ジャズ・カルテット ) といえばジャズとクラシックの融合とか言ってちょっと気難しい音楽のイメージがあります。実際写真なんか見てもスーツとか、タキシードとか着てたりします。だいたいモダン・ジャズのバンド名に「モダン・ジャズ・カルテット」なんて付けるのはインテリに決まってますやん、ロックバンドの「ザ・バンド」とか、お笑いの「漫画トリオ」とか(ちょっとちゃうか?)。
そして彼らのこの「フォンテッサ」(1956年録音)というアルバムもジャケットの絵を見てもわかるようにヨーロッパのクラシックの雰囲気が漂っています。「フォンテッサ」はルネッサンス時代の喜劇だそうです。しかし今このアルバムを聞いてみると紛れもないモダン・ジャズでした。


ということで今回のBGMはマイルス・デイヴィスの’ サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム ‘ です。





nice!(0)  コメント(0) 

犬の話 ② [昔噺]

小学5年生の時、父の定年で社宅を出て引っ越しをしました。電車でひと駅のところです。本当なら転校しないといけないのですが、あと2年なので特別に電車通学を許可してもらいました。友だちと離れずに済んだし、毎日定期券を首からぶら下げて電車に乗れるのは楽しかった。ところが学校が終わって家に帰ると近所に友達が一人もいないのでちょっと寂しくて退屈でした。そんな僕を見て、父が犬でも飼うか、と言いました。引っ越した町の駅前の商店街に小さな小鳥屋さんがあり、その店先に小さな檻の中にどっかから拾われて来たに違いない真っ黒な子犬が売られていました。この犬でええわ、とその雑種の子犬を買ってもらいました。名前はコロと付けました。そうそう、コロは200円でした。よく覚えてませんが当時はキャラメル1箱が20円くらいやったみたいですからやっぱり雑種ですね。

          コロ2.jpg

知らない町をコロと一緒に探検に出かけました。引っ越した先は前に住んでたところと同じ市内なのに外れにあるせいかだいぶ田舎のような気がしました。家から15分ぐらい歩くともう田んぼがあり川が流れていました。その川沿いの道を散歩してると、なんか、遠くの方からグオーっという音が聞こえてきて、その音はだんだんと大きくなって来ます。音のする方をみると飛行機が小さく見えます。と思ってたらその飛行機もグングンと大きくなってこっちの方に向かって来ます。そして僕らの頭上スレスレを飛んで行きました。びっくりして僕とコロは思わず首をすぼめました。飛行機は川を越え、その先の田んぼの向こうへ飛んで行きました。そこは伊丹空港で、ここはその滑走路の着陸コースの真下でした。(余談ですがこの川沿いをもう少し南の方へ行くとあの森友学園です)

          コロと散歩2.jpg

ある日、親戚の叔父さん(父の弟)がやって来た時にコロを見て、この犬は四つ目だから縁起が悪い、早くどこかへやったほうがいい、と言いました。しばらくして母が大病を患い、叔父さんは、ほら、やっぱり、と言いましが僕には信じられませんでした。その後、母の病気は快復しました。しかし、コロはわずか3年たらずで死んでしまいました。

今回のBGMは、エディー・リーダーの ’ プレイ・ザ・デビル・バック・トゥ・ヘル ’ です。




nice!(0)  コメント(0) 

散歩の途中 ⑮ [散歩]

今頃の季節には気持ちがいいのでよく自転車でも散歩に出かけます。以前、世田谷区の経堂に住んでいた頃、時々多摩川まで自転車で行ってました。経堂から多摩川へ行こうと思うとあそこら辺は坂また坂でめっちゃくちゃしんどかったです。ところがいま住んでいる隅田川の東の墨田区や江東区はもともと海やったところを埋め立てているので真っ平らで坂がありません。どこまでも自転車でスイスイと行けます。スイスイと行けますからどんどん遠くへ行けます。東京湾までも、まだ行ったことはないですけど。当たり前ですがスイスイと遠くへ行ったら帰ってこなあきません(帰りたくなくてもです)。いくら坂がない言うても気をつけないと家に帰ったらヘトヘトになります。

           鉛工場.jpg

ということで今回の絵はいつもの散歩コースよりちょっと遠い墨田区の亀沢というところにある (あった)東京鉛(株)という会社の工場です。全面トタンの建物で初めて見たときにええなぁ!と思いました。今回もういっぺん見とこかなと思って行ってみたらスーパーのサミットになっていた。まぁ、しょうがないか。


           小名木川と大横川.jpg

それと自転車なんで亀沢からもうちょっと南へ江東区の白河あたりまで行きます。そこに北十間川から分かれてきた大横川と隅田川と旧中川を結ぶ小名木川が交差するところがあります。運河と運河の交差点、ここも好きな散歩の途中の風景のひとつです。


      今回のBGMはサム・クックの ‘ ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム ‘ です。




nice!(0)  コメント(0) 

犬の話 ① [昔噺]

ものごころついた時(4歳か5歳か、覚えてる一番古い記憶は幼稚園に行くのが嫌で途中で家に引き返したらオカンにえらい怒られたことです、ってなんとかは双葉より芳しやな)我が家には犬がいた。「ペス」という名前の赤茶色の毛の短い雑種の犬でした。その頃、我が家は父が働いていた会社の社宅に親子6人 (僕は末っ子 )で暮らしていました。その家には結構広い(というても子供の記憶ですが)庭があり、鶏小屋もあり庭には二羽にわとりもいてました。ほんまです。ペスは当時のほとんどの家の犬がそうであったように番犬であった。昼間は犬小屋のそばに鎖で繋がれて、押し売りのオッサンなんかが来ると、ワン、ワンと吠えてくれます。そして夜中には放し飼いにして家の周りの番をしていました(いまこんな飼い方したらえらいことになります)。近所に遊びに連れて行くときも放したままで、途中で野良犬と喧嘩なんかになると大変でした。あの頃は学校の帰り道で犬がさかってるのを見つけるとみんなでいろいろ邪魔をしたったもんです。今思うと悪いことしたなぁ、ごめんやで。子供はほんま残酷やなぁ。

           犬の話・ペス.jpg

時々、朝になつてもペスが小屋に帰っていない事がありました。アッ、しもた、今日は第三木曜日や。あの頃、私たちの町では月に一度「犬取り」の日があり、保健所の人が野良犬を捕まえに輪っかの付いた棒を待ってオート三輪で夜の町を走りまわってました。そやからその日の夜は犬を放したらあかんかったんです。まぁ、ペスには首輪に鑑札が付いてるのでその度に保健所に引き取りに行くことになります。ところがある時本当にいなくなりました。どうしたんやろなぁ、保健所にもおれへんし、どっかに連れていかれたんやろか。結局それっきりペスは帰ってきませんでした。その頃、赤犬は食べられるねんてぇ!という噂を聞いた事がありました。ほんまやろか、と思いました。それからしばらくして庭の二羽のニワトリもいなくなりました。これは私たちが食べたそうです。


           犬の話・犬とり.jpg


ということで今年が戌年やからというわけではありませんが我が家の犬のことを時々書こうと思ってます。ここに書く犬の話はフィクションではありませんが、なんせ僕の記憶の話なので不適切な表現や、間違いがあるかもしれませんがそこんところは大目に見てやってちょうだい!。


そして今回のBGMはエリック・クラプトンのアルバム『安息の地を求めてーThere’s One in Every Crowd』から「メイク・イット・スルー・トゥデイ」です。なんでもこのアルバムのジャケット写真の犬はクラプトンが子供の頃に飼ってた犬らしいので。




nice!(0)  コメント(0) 

散歩の途中 ⑭ [散歩]

前回の続きのような話です。去年の暮れまでテレビ東京で土曜日の深夜にやってた「セトウツミ」というドラマを毎週見ていた。関西のどこかの高校生、ちょっとやんちゃなセトくんとちょっとインテリなウツミくんが放課後の河原で階段に座ってどうでもええことをだらだら喋ってるだけのドラマでした。最初にドラマで彼らが座って話をしてる階段の風景を見たとき、どっかで見たことある景色やなぁ、どこやったかなぁ、ふたりはなんか関西弁(ちょっと変なとこもあるけど)喋ってるしなぁ、昔、よう、草野球しとった淀川の河川敷かなぁ、それか東京に来てからの多摩川かな、それにしては河原が狭いなぁ、ほんで、こんな風景どこにでもあるしなぁ、まぁ、もうええことにしょ。

セト・ウツミ A.jpg


それから何回か見てるうちにいろんな角度からこの河原が映るようになると、あれ?ここいつも散歩してる旧中川の江戸川区側の河川敷きちゃうかなと思いました。関西弁喋ってるけど関西でロケしてるとは限らんしなぁ(ちょっと変なとこあるし)、と思って次の日に確認しに行きました。間違いありません、いつも散歩してる川沿いの道でした。散歩のコースには好きな風景がいろいろあるけど、こんななんでもない気にもしてない風景でも心のどこかに残ってるもんやねんなぁ、と家のものに言うと、そら、あんだけ毎日ブラブラ散歩しとったら覚えるちゅうねん!と言われてしもた。ちゅう話です。(テレ東さん、ロケ地関西やないいうのんバラしてしもてすんません)

セト・ウツミ B.jpg

てなことで今回のBGMはサニーデイ・サービスの ‘ 恋はいつも ' ですわ。


nice!(1)  コメント(3) 

散歩の途中 ⑬ [散歩]

いくつかある散歩のコースにはそれぞれお気に入りの場所があります。いつも散歩してるコースなのにそこに来ると毎回つい立ち止まってシャッターを押してしまうので同じような写真がぎょうさんあります。(一番多いのはやっぱりスカイツリーです。)下の絵は北十間川から旧中川の川沿いを江戸川区の平井の方へいくコースの途中にある古い倉庫です。ここに来ると僕はいつもアメリカの画家アンドリュー・ワイエスの有名な「クリスティーナの世界」を思い出すのです。広い草原に横たわり丘の上の家を見上げる女性の後ろ姿が描かれているあの絵です。土手の下から見上げる古い倉庫のせいかもしれません。現実にはあんなに広い草原もないし草に横たわる女性もいてないどころか横のベンチでサラリーマンのおっさんが退屈そうにスマホを見ています。


旧中川風景・倉庫.jpg



家から横十間川に沿ってどんどん下っていくと江東区の猿江恩賜公園に着く。この公園はテニスコートやアスレチックコートがあり池や芝生広場もある。新大橋通りをはさんで南側には野球場やコンサートホールもある大きな公園です。そして都会の真ん中なので周りはビルに囲まれています。テニスをしてる人、バスケットボールをしてる少年たち、ジョギングをしてる人、芝生で寝てる人、犬を散歩させている人、お弁当を食べてる人もいます。まるでニューヨークのセントラルパークみたいやなぁと思います。あっ、行ったことないですけど。下の絵はそんな中でも僕の好きなポイントで木々の向こうに双子の超高層マンションが見えるところです。いつかあんな所に住めるようになるやろか、あるわけないか。


猿江恩賜公園・高層マンション.jpg


と言う訳で今回のBGMはあのビートルズの名曲「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」やけどなんかジャズギタリストのウェス・モンゴメリーの方を聞きたい気分なんです。






nice!(0)  コメント(0) 

散歩の途中 ⑫ [散歩]

八月の暑〜い日に散歩に出かけました。今年の夏は暑かったのか寒かったのか、ようわからない夏でしたが、その日はカンカン照りで散歩の途中から、これは帽子を被ってないとヤバイかも、と思いました。帽子は何年か前から散歩以外でもほとんど被らないようになっていました。15年くらい前までは割とよく被っていたのですが、なんか、どの帽子もあまり似合わんなぁ、多分太ったせいやろなぁ、そやけど新しいのん買う余裕もないしなぁ、と思ってました。そんな時、いつも散歩の途中に前を通る教会で「土曜バザー」というのをやってたのを思い出しました。そうや、今日は土曜日や、教会のバザーやったら安い帽子くらい売ってるかもしれんなぁ、最近はちょっとキャップに興味あるし、と思ったので覗いてみることにしました。中に入ってみると、おおぉ、近所のオバハン、オッサンやちょっと若いニイちゃん、ネェちゃんでごった返しておりました。

           土曜バザー.jpg

派手なワンピースやコートやバッグを両手に抱えたオバハンの脇を通り、お目当のキャップを探しますと、あるある、いっぱいあるやおまへんか(なんでこんな時は関西弁やねん!)。赤、青、黄色いっぱいあります。どれもそんなに汚れてない、というより新品に見える。うーん、迷うなぁー、どうしよーかな、ええい、こうなったら生まれて初めての大人買いや!と思い切って5個も買うてしまったのが下の絵のやつです。と言っても全部で600円でしたけど。どれも100円で、ひとつだけ200円でした。(どれでしょう?ってしょうもない問題出すな!)。というわけで今はTシャツに合わせてキャップを選んで散歩してます。しかしもう、夏が終わってしまいそうなのが残念です。オー・マイ・エンドレス・サマー!やんか。

           バザー・キャップ.jpg


そういうことでプロフィールの絵も更新しました。もう、気分は映画「パリ、テキサス」のトラヴィス(ハリー・ディーン・スタントン)です。あんな哀愁もないし、だいぶデブやし、おじんやし、ってええやん、ほっといてんか。

           2017自画像7.jpg  

ということで今回のBGMはやっぱりライ・クーダーの「パリ、テキサス」のサントラやろ、と思いますが、ここはあえてウィリー・ネルソンの ‘ アクロス・ザ・ボーダーライン’ にします。あかん? (200円のは黄色のナイキジャパンのキャップです。どうでもいいでしょうけど)         


           
nice!(0)  コメント(0) 

この町⑧ [町]

うちの家の近所には小さな町工場というか作業場みたいなところがたくさんあります。木工所、プラスチック成型、ハガネ製造、しめ縄製造、はっぴを縫うてるとこなどなど。そしてそういうところは外の道に面して開けっ放しのところも多く、歩いているとその作業をしてるところが見えてしまいます。僕の好きな場所にY鋼業というところがあり、いつもツナギの作業服を着た大きな人が黙々と仕事をしています。何を作ってるのか知りたいけど、そういうとこで、何、作ってはるんですかぁー?、なんて聞いてはいけません。なんだって?昼間っから首にカメラなんぞぶら下げてブラブラ歩いてる爺さんに説明したってわかるもんじゃねぇ!(東京弁で書くの難しいわぁ、東京の人ごめんなさい)なんて言われるかもしれませんから。僕かて仕事中に後ろから、なに描いてはるんですかぁー?なんて聞かれたら、うるさい!あっち行っといて!と言うと思います。それより仕事中に知らん間に後ろに人がおったらそれだけで気絶しますけどね。

          Y鉱業.jpg

それからY油脂工業所というところにはB級ホラー映画に出て来そうなゴムのエプロンをつけた怖そうな大きなおっちゃんがいるのですが、この人は表で学校帰りの小学生二人と楽しそうに喋っているので聞いてもいいと思いました。ここは何をするところなんですか?いやいや、取材とかやないんです、ただブラブラ歩いてるだけなんですけど、何するところなのかなぁ、思いまして、と言うとそのB級ホラー映画に出て来そうな大きなおっちゃんは、ここはねぇ、レストランなどでさぁ、使った後で捨てられない油をさぁ、回収してさぁ、リサイクルしてんだよ、石鹸とかにね。(東京弁は難しい、ほんま、すいません!)とニコニコしながら教えてくれました。人は見かけで判断してはいけません。という訳でこの町の働くおっちゃんの話でした。余談ですが近所には花王石鹸のでっかい本社工場もあります。

           Y油脂工業所.jpg

ということで今回のBGMはナット・アダレーの ‘ワーク・ソング ' です。この曲はオスカー・ブラウン・ジュニアという人が歌詞をつけて歌ってヒットして、日本では尾藤イサオが日本語で歌ってこちらもヒットしました。もうこんなん覚えてる人少ないんやろなぁ。



図書館へ行こう!⑥ [本・音楽]

久しぶりに図書館で見つけた懐かしのレコードです。「ウィントン・ケリー・トリオ/イッツ・オール・ライト」と「ハービー・マン/アット・ヴィレッジ・ゲイト」です。高校三年生のころ勉強もせんと学校の帰りに大阪梅田にあった「Check」というジャズ喫茶によく行ってました。この店は後に壁から天井から便所の中から便器まで全てOXOXの記号のような絵で覆い尽くされた。当時話題の具体美術協会の向井修二の作品やで、と姉が教えてくれた。そんなちょっと前衛的な暗い店内で真っ黒なコーヒーを飲みながらちょっとタバコ(ゴールデン・バット)なんか吸い、ぼーっとモダンジャズを聴いてました。店内では暗いのに本を読んでる人、下を向いて頭振ってる人、寝ている人で昼間やのに結構お客さんがいました。当時「Check」ではリクエストするとLPの片面全部をかけてくれました。しかしその頃は、俺、ちょっとジャズにはうるさいで派の大学生やサラリーマンの間ではジョン・コルトレーンやオーネット・コールマン、セシル・テイラーのような僕にはちょっと難しそうで退屈に聞こえる前衛的なジャズがかっこええでぇ、という雰囲気があり、僕の聴きたいこの二枚のアルバムやホーレス・シルバーのソング・フォー・マイ・ファーザーやラムゼイ・ルイスのジ・イン・クラウドのようなちょっと軽いけど人気のあるファンキーなレコードをリクエストするのはちょっと勇気がいったのものでした。

           ハービー・マン.jpg

藤牧義夫という昭和初期に活躍した木版画家がいる。25年くらい前に「日本近代版画の歩み展ー永瀬義郎と大正・昭和戦前期の作家たち」という展覧会で藤牧義夫の作品を見た。この時の図録は今でも僕の木版画のバイブルのひとつです。当時としてはすごいモダンなテーマと思はれるガソリン・スタンドを描いた多色刷りや隅田川にかかる白鬚橋や清洲橋を大胆な構図でザックザックと彫った白黒の版画などかっこええなぁと思いました。そして版画ではないが白黒の線のみで彼が歩いた隅田川の風景を描いた有名な作品「隅田川両岸絵巻」という、なんと全長60メートル(全四巻 )にも及ぶ大作を残している。しかしその後彼は姿を消してしまい今だに行方不明のままである。24歳だったという。その後、彼と版画創作活動を共にした先輩版画家の、彼は孤独と貧困の中、苦悩のうちに彼が一番愛していた隅田川に身を投げたのだろう、と言ったことが一般的になり、僕もそう思っていました。ところがこの本「君は隅田川に消えたのかー藤牧義夫と版画の虚実」駒村好重 著 (2011年・講談社 )では本当にそうなのか、その先輩版画家はなぜ藤牧に、隅田川に身を投げた苦悩の版画家像をつけたのか、彼の元からいっぱい出てくる藤牧の版画はなんなのか、贋作ぽいのもあるけど、どーなってんねん、みたいなことがまるでミステリーのごとく明かされて行くのだが・・・・・。普段あまり本を読まない僕ですけどこれは面白くて一気に読み終えました。

           君は隅田川に消えたのか.jpg

ということで今回のBGMはもちろんウィントン・ケリー・トリオの 'イッツ・オール・ライト’です。この曲は当時は知りませんでしたが、後々、大好きになるカーティス・メイフィールドの曲やったんやと知りました。



前の10件 | -